ある時、私がフィギュアを製作していることを知る数少ない友人の一人に、ついででいいからリングを作ってくれないか、との打診を受けた。
そんなことを言われても、彫金の技術も道具も持ってないので無理だと思ったのだが、フィギュアの素材で良いとのことでまあやってみることに。
最初の要望は、チェゲバラのしていた?キューバの国旗をあしらったデザインだった。
が、とりあえずエポキシパテでざっと作ってみたら、
私が昔ほんの少しだけ篆刻をかじっていたこともあり、印章のリングにすることになった。
それからしばらくほったらかしていたが、フィギュアの原型を複製するついでにパテで作ったリングも複製。
小さい裂き型で。
さて、ここまで出来たのはいいが、レジンにちゃんと彫れるのかわからぬのでとりあえず試してみる。
やはりというか当たり前だが、石に彫るのとは大分違う。
そりゃ石よりは柔らかいのだが、粘りがありすぎて石のように欠けないのが逆に彫り辛い。
使う得物も篆刻刀より彫刻刀の方がまだやりやすい。
とにかく彫れなくもないのはわかったので、印面を決めにかかる。
しまい込んでいた辞書を出してきて、調べまくる。
このころにはすっかり夢中になって、製作が遅れに遅れているフィギュアのことなどすっかり忘れていて、更に大幅に遅れるハメに。
甲骨文字の辞書まで引っ張り出してきて色々な字形で考えたのだけど、結局普通っぽい感じに落ち着き、印面に逆に書き込む。
彫る。
押してみる。
まあ、はっきり言ってヘタクソだ。
細かなところを修正し、石と違って撃辺が出来ないので彫刻刀で削る。
着色は最初はシルバーで金属的な感じにする予定だったが、蛇紋塗装というのをやってみたくて石的な感じにすることに。
レンジフードのフィルターを使って何回も重ねてエアブラシで吹き付ける。
その上からクリアーを数回吹き付けて、コンパウンドで磨いた。
まあ、石っぽいといえば石っぽいし、プラスチックっぽいといえばプラスチックっぽいし...
一応完成。
友人に渡したところ気に入ってくれたようで良かったのだけど、一週間で角の部分の塗装が剥がれてきてしまったらしい。
塗膜の弱さは正直気になっていたので、やはりという感じなのだけど、例えばウレタンのクリアーとかを持っていなかったから気づいてない振りをしてしまった。
その内ウレタンクリアーを購入して、もう一度塗装し直さなければならない。
ついでのはずが、すっかり楽しくなってしまったので次があれば色々修正してやりたい。