『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel]II.lost butterfly』を鑑賞してきた。
圧巻だった。
あまりの圧巻ぶりに、観終わってから疲れを感じるほど。
家を出る直前に第1章をBlu-rayで見直してから行ったので、ほぼ4時間続けて観たのが疲れの原因かもしれないが。
私は元のゲームも未プレイだし、fateシリーズに特に強い思い入れもなく、食いしん坊セイバー可愛いなどと思いながら普通に楽しんできたくらいのものなので、詳しいレビューなぞはしない。
では、何について書くのかと言えば、桜の発する例の言葉。
「 セン パイ 」
についてだ。
劇中で桜がその言葉を発すれば発するほど、どんどん本来の意味がわからなくなっていき、途中からはその言葉を桜が言うだけで涙が出てくるようになってしまったのだ。
観終わった後、急いで車に駆け込みスマートフォンの電源を入れ検索する。
先輩 ー 学問・年齢・地位などが自分より上の人。また、同じ学校、勤務先などで、さきにはいった人。
だよね、そういう意味だよね。
それを見て少し落ち着く。
そういえば、いつか何かで見たことがある。
日本のアニメの影響で、海外ではsenpai(先輩)の意味が「自分の気持ちに気づいてくれない愛しい人」という風になっていると。
なるほど、アニメで先輩という言葉を知った外国人がそう思うのも今ならわかる。
だって日本人の私ですら、今や桜の「セン パイ」を聞くと落涙を禁じ得ないのだから。
もしかしたら、これはヤバいことなのではないのか。
私なぞは中年なので、もしその言葉を言われても、年長者に対する敬称であって決して私に好意があるのではないと、どうにか思える(そのかわり、滂沱の涙を流す)。
が、まだ若く血気盛んな男子などはどうだろう。
桜の「セン パイ 」の洗礼を受けた後、現実世界でその言葉を後輩から言われた時、正気を保てるだろうか。
学生の頃というのは、学年が上の人を呼ぶときは全て先輩を付ける。
同性異性合わせて数百人の後輩からセンパイと呼ばれ、そのたびに愛の告白をされたと思っていては、とてもまともな生活など送れないことだろう。
そうか。
だから、『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel]II.lost butterfly』はR12指定なのか。
なるほど、合点がいった。
これからは、先輩という言葉は気をつけて使わなければならない。
言ってみれば、あの有名な夏目漱石の「月がきれいですね」のようなものだ。
あまりに桜の発する「セン パイ」が強烈過ぎてすっかり忘れてしまっていたが、少し前に『ROBOTICS;NOTES』を観た時にも似たような気持ちになったのだった。
神代フラウの発する「センパイ」だ。
こちらは、桜ほど情感たっぷりではないが、少し低めの声で言うフラウの「センパイ」もグッとくるものがあった。
浅学な私はこれ以外に思い出せないのだが、世の中に数あるであろう素晴らしい「センパイ」をもっと知りたいものだ。