ヴァイオレットちゃんの顔に接着剤をぶっかけるという大失態のせいで3回目のやり直しをしなくてはならない、本当ならもう終わっていたはずなのに。
という思いが消えず、中々作業に取り掛かれない。
それと同時に、あと一息なので早くやりたい気持ちもあるわけで、ダラダラとシンナーに浸けて塗料を落とす。
惰性でプライマーを吹きかけ、ヴァイオレットちゃんの顔を見ると、鼻の頭に埃がべったり付いている。
それを取り去る時に結局プライマーが剥げてしまい、また吹き直す。
その上から塗る肌色も中々思い通りの感じにならない。
誰がどう見てもヴァイオレットちゃんは黄色人種ではないと思われるのに、黄色っぽくなってしまうのだ。
もういっそのこと、肌の色は黄色っぽいままで、名前を 「場威尾列斗ちゃん」ということにして人種を変えてしまおうかと思いつく。
それなら特攻服的なやつを羽織らせべきなのか。
特攻服の背中には、チームの名前が刺繍してあるものじゃないのか。
調べてみると、ヴァイオレットちゃんの勤める会社は「C.H 郵便社」というらしい。
ということは、「死.叡血 郵便社」みたいな感じかな。
ちょっと筆を出して書いてみようと小筆と墨汁を探していると、いつものように
「...様、旦那様」
と場威尾列斗ちゃんの声が聞こえてきて、ようやく現実逃避から逃れられた。
作業に戻り、やっと色が決まってエアブラシすると、粉っぽくなってしまったり、やはりグダグダ状態からは完全に抜け出せていない。
そんな状態ながら時間をかけて何とか顔を仕上げた。
今度こそ失敗しないように、慎重に接着剤をつけて髪をくっつけ、出来た頭を胴体に乗せて完成。
どうだろう、ヴァイオレットちゃんに見えるだろうか。
ブーツのリボン結びの紐が知らない間に折れていた。
背景紙まで用意して、最初はノリノリで
「いいよ〜ヴァイオレットちゃん」
「可愛いよ〜ヴァイオレットちゃん」
なんて言いながら撮影するつもりだった。
が、写真を撮ることに元々興味がないし、カメラもiPhoneSEのだし、自分で作っただけにアラが目に付き撮れば撮るほど盛り下がってしまう。
まあでも、今の私の腕ではこれくらいが精一杯だろう。
結局完成まで半年もかかってしまったが、やり直しの連続で気分的には3体くらい作った感覚だ。
この感覚を忘れないうちに次のものを作り始め、今回の反省点をいかして、もうちょっとマシなものができるように頑張ろうと思ふ。
...終わり