街で見かけた暴走族と、コスプレと『ウマ娘』

昔から暴走族というものが存在する。

 

ウイキペイディアさんによると、

 

暴走=常軌や規則を無視して乱暴に走行することを指す。

 

と記してあった。

 

族は「ゾク」以外にも「ヤカラ」とも言う。

 

ので、

暴走族とは簡単に言うと、

「常軌を逸した走りをするヤカラ」

ということになる。

 

ただ、ここまで定義を簡略化してしまうと例えば、ウサインボルトさんなども私達常人からみれば完全に常軌を逸しているということになるので、彼もまた暴走族と言えよう。

 

更にこの定義で言えば、萩本欽一さんの「欽ちゃん走り」なども通常の走りかたからすれば常軌を逸していると言わざるを得ないので、やはり暴走族と言えるだろう。

 

 

なぜこんな話をしたかといえば、先日深夜に車に乗っていた時に暴走族を見かけたから。

 

台数は4台と少なかったが、まるで音楽を奏でるように節をつけた爆音を出しながら、道幅いっぱいに広がって走っていた。

 

ただ、ひどくゆっくりで、徒歩と変わらないくらいの速度だった。

 

おかしい...

 

暴走族なのに全然暴走していないではないか。

たしかに爆音を響かせ、道幅いっぱいのスペースを使ってクネクネと蛇行していたので、その点では常軌を逸しているとも言える。

 

だがのろい、ノロすぎる、暴歩と言った方がしっくりくるくらいに。

 

そして更に奇妙なのが、暴歩族の後ろをパトカーがついていっていることだ。

 

拡声器で何かを言ってはいるが、暴歩族が赤信号を無視して進んでも(もちろんパトカーは信号に従って止まるが)ただついて行くだけで何のアクションもない。

 

それどころか、暴歩族なんてパトカーが信号に捕まってついて来てないことに気づくと、青になるのを止まって待ってあげているのだ。

 

そして、そのパトカーの後ろから私の車がついて行く。ノロノロと。

 

 

いったいこれは何なのだ?

 

 

信号無視した時点で、道路交通法的に何らかのペナルティが発生するのではないのか?

 

しばらくの間私はこの大名行列的なものに付き合わされたのだが、奇妙な光景を見ながら考えた結果ひとつの結論に達した。

 

 

これはコスチュームプレイなのではないか、と。

 

説明すると、

マニアの人がポリスの制服を着て帽子を被り、自分の車を白と黒のツートンに塗装し、おそらく警察手帳も準備してポリス気分を味わっているということだ。

 

それだけの装備を整えたなら、実際街に出たくなるのが人情というものだろう。

 

きっと、最初はただ街中を走り回っていたのだろうが、段々とそれでは満足できなくなり、暴走族を追跡しているフリをするという作戦を考えだした。

 

さすがに本気中の本気な暴走族相手に、カーチェイスを繰り広げる訳にはいかない(ポリスの格好をした人が、同じ格好をした本物に逮捕されるというシュールなことになる)ので、暴歩族に頼んでこの凱旋パレードのような行進をするに至ったのだ。

 

暴歩族にとっても悪い話ではない。

好き放題暴歩をしようと、お縄になることはないのだから。

 

ある意味素晴らしい作戦だ。

 

伊坂幸太郎の小説で主人公の銀行強盗がポリスの格好をするというのがあった。

あの話の中でも、人は服装や格好を疑わないものだと言っていたが、あの光景を見た人は私も含めまさかポリスの偽物だとは思わなかったと思う。

通報する人なんてまずいないだろう。

 

もしかしたら、ポリスどころか暴歩族も実はポリスマニア仲間で、今回は暴歩族役だっただけかもしれない。

 

 

そこまで気づいた時には、あの行列は私の進行方向とは別の道に行ってしまっていて姿は見えなくなっていた。

 

 

私は「畜生!もっと早く気づいていれば」とハンドルを叩き、今からでも追っていって「俺は気づいているぞ、紛い物め」と言ってやろうと息巻いたが、やめた。

 

たいした迷惑もかけていない、趣味を楽しんでいる人達の邪魔をするのも無粋というものだし、私には早く帰って録り貯めてあるアニメを視聴するという仕事があったので。

 

無事に帰宅して録画を観ると、馬の耳と尻尾が生えている以外普通の女子達が競馬場を疾走していた。

どうやらこの女子達は、物凄くかけ足が早いらしい。

 

私はぼんやりと思った。

もしこの娘達が公道を爆走していたら完全に暴走族と言えるだろう。

何しろ耳と尻尾がある以外、普通の女子が体操服を着て時速60kmで走っているのだから、尋常じゃない。

 

そして、それに出くわしたらあのポリスマニア達はどうするだろうか、と。

 

本物のポリスなら、娘達をスピード違反で捕まえるのだろうか?

 

 

もし、

さっきのが本物のポリスだった場合、「紛い物が!」と罵った私はどうなっていたのだろうか、と。